うすめてもうすめてもあつい海(セクシー番長)

懐が深い人だなあ、とはよく思うのだ。けれどそうだといっても、私はまだ彼に並ぶには子供で、頑張って背伸びをしたところでそれすらも見透かされて頑張らなくてもいいよ≠ニ緩く彼は微笑まれてしまうと途方にくれるしかできないのだ。好きでいてくれるとは、思う。大切にされているということもわかっている。けれど、だからこそ私は早く大人になりたくてしかたがないのだと、そう思う。
「急がなくていいよ」
私の思っていることを見透かしたかのように、そういって微笑む。まるでそれが親から子供に対するもののようにも思えて、更にそれが焦らせる原因だと彼は思ってもみないに違いない。違いないが、けれども彼のそういう所がとても好きなので案外私も馬鹿になってるのかもしれない。甘んじるように目を細めて、ありがとうとそう言えば額にキスをされた。昔こそ、真っ赤になって「子供扱いしないで!」と怒っていたものだったが最近はそういうことはなくなった。それは馴れというのもあるが、もう一方で子供扱いだということを知りながら、けれどもそれを利用するくらいは私は大人になったということだろう。

(それはきっと、喜ばしいはず)

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