翅をもがれた蝶々の結末(セクシー))

愚かだといえば愚かであるのだろう。いわば、彼女は羽をもがれた蝶のようなものだった。もちろん、?いだのはセクシーである。彼女が自分に恋をするように仕組んで、そうして彼女を自分のものにしたのだから。何にも穢れていない、真っ白な少女は簡単にセクシーの色へと染まっていき、そうしてセクシーの望むように好意を向けてきた。本来であるのならば、もっと他にいい人間がいただろうとも思う。彼女は恋が出来ない体質だと相談しにきたが、けれども決して恋人がいなかったわけじゃないのだから。だから、もしも彼女が恋愛番長を呼び出そうとしなくたって、彼女はいつか恋をしたはずだ。あそこで、セクシーと出会い、セクシーと恋人なんてやろうとしなければ。他の奴らであれば、優しく彼女を放してやったにちがいない。それこそ、好意を作っていくような真似はせずにそのままの彼女を愛したはずだとそう思う。もしも、他の番長を彼女が選んだらどうだっただろう。女は恋した男によって作られるともいう。爽やかであれば爽やかな女性になっただろうし、プリティであれば可愛い女性になっただろう。そこまで考えて、セクシーは小さく笑った。
「・・・・・・?どうしたの、セクシーさん」
「あぁ、いいや、なんでも」
「そう?」
ことりと彼女は首を傾げるとティーカップを持ち上げた。ただそれだけのしぐさで、妙に色気を感じるのはセクシーのせいだろう。そう考えると妙な満足感を感じる。いつの日か、セクシーさんのような大人な女性になりたいのだとそういった彼女は着々と成長していっている。何も知らなかったはずの唇はキスの味を、そうして柔らかな肌はセクシーの唇の味を。大学でも、彼女の噂をよく聞くようになった。一目みただけではわからないが、けれどもどこか惹きつけられる女性だと。セクシーさは決して外見だけではない、より内側にこそあるものだ。きっと彼女は自分で思っているよりも成長しているのだろうとそう思う。だからこそ、思うのだ。彼女の羽を?いでよかった、と。きっと本物の羽では彼女は自由な空へと羽ばたいていってしまうから。偽物の飛べない羽をくくりつけて、そうして飛べない蝶をただ掌の中に、

inserted by FC2 system