さよならに隠された祈り(ミステリアス番長)
「UMA、俺は次の町に行くぜ」
そういいにきたドSの心がほんの少しわかったような気がしてミスティは心がざわつくのを感じた。多分、彼は彼女のことが気に入っていたんだと思う。何かとミスティにはつっかかってくる人間ではあるが、それはいつものことだ。けれどそのいつもの頻度が多いことに気がついているのは否か。もしかしたら、彼は本気で彼女のことが、
もしも一番初め。彼女がドSの手を掴んだのならばすべては違ったのだろうと思う。有り得ない想像ではあるが、有り得なくは無い想像でもある。そうであるというのならば、間に合ってよかったとも思う。だって彼女はこんなにもミスティの心を揺さぶる女性だったのだから。

「・・・・・・寂しくなりますね」
「そうだね」
優しい少女はそういうとじっとドSの背中を見ていた。どうしてこんなにももどかしい気持ちになるのだろう。彼女は今、自分の腕の中にいるというのに変な話だ。
「私ね」
「うん」
「番長としてのドSさんも嫌いじゃないんですが、ドSさん自身も好きなんですよ」
「・・・・・・。彼氏としては釈然としないけれど、僕も同意見だよ」
「きっと、いつか。出会うと思うんです、彼は」
「そうだね、きっと」

―――――――僕と同じように。


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