睫毛が重なる前に

よっし、直獅!自分の心によく言い聞かせろよ、今、ここに居るのは大事な生徒!
そう、それ以上でもそれ以下でもない!大事な生徒、大事な生徒、大事な生徒!何度も自分にそう言い聞かせて、それでも収まらない自分の動悸に陽日はため息をついた。

腕の中には、無防備に眠る星月学園のお姫様。すやすやと穏やかな寝顔で眠る彼女に、どうしてこうも自分の脈がはやくなっているのだろう、というかそもそも何でこんな事になってしまったんだろうと陽日はそっと額を押さえた。

天体観測がしたい、とそう言い出した月子に「夜は危ないから」と陽日がついていくことになった。ここまでは、よくある事だ。屋上庭園で、星をみているうちに月子に強請られるままに星を教え、神話について語っているうちに肩に重みがかかった。
横を見ると、月子は陽日に寄りかかって眠っていたのだ。

どうやら月子が本格的に寝てしまっているようだと気がついて、それからどうするべきか悩んだ。月子は朝から晩まで、部活やら生徒会やらでとても忙しいのだ。
それを近くで見ている陽日は、どうしても月子を起こすことができなかった。

「お前、いつも頑張っているもんなあ」
えらい、えらいと月子の頭をそっと撫でれば、つややかな髪が陽日の指の間を滑る。熱いものに触れてしまったみたいに慌てて陽日は彼女の髪から手を離し、視線をさまよわせた。
それにしても、と陽日はため息をつく。
今、ここに居るのが自分だったからいいものの、こんなにも無防備な状態を月子は他の男の前で晒しているのだろうか。相手は十代後半。そういう“さかり”のついた奴らだろうに、と思わず眉を寄せる。

(あぁ、でもそのために東月や七海が居るのか)
月子のナイトの存在を思い出して、陽日はほんの少しだけ安心した。あの二人はこんな状態になっても慣れていそうだ。

「お前、本当に罪な女だな」
 すやすやと穏やかに眠る彼女と“罪な女”という敬称があんまりにもちぐはぐに思えて陽日は吹き出した。

「…先生?」
「講義の最中寝るとは良い度胸だな、夜久―?」
「す、すいませんっ!つい、その、安心して」
「レポート10枚な」
「えぇえっ!!!」
「冗談。さ、帰るぞー」

掌に髪の感触が残っているような気がして、陽日は手を握り締めた。


 

知ってる?双子座と獅子座って仲がいいんだよ!!!いやだからなんだという。あとてんびん座は双子座と 相性がいいらしい。春秋は相性が良い者同士であつまっていることに気がついたらなんだかにやにやしてしまった(笑)

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